【訳】ATEEZ ZERO:FEVER EPILOGUE Diary verストーリー
ダーイブ遅ればせながらエピローグ訳上げさせてください。
彼らもついに次の章へ進むと公言したので今しかないと思って書き上げました。
過去ストーリー
- 過去ストーリー
- A INTRO
- 01. SAN
- 02. SEONGHWA
- 03. JONGHO
- 04. YUNHO
- 05. WOOYOUNG
- 06. HONGJOONG
- 07. MINGI
- 08. YEOSANG
- Z OUTRO
A INTRO
"滅亡を前にした人類を救うこと"
マヤ遺物を盗んだとされる3人組、
新興宗教団体‘サイエンサルバール(Sciensalvar)’*1であることが明らかになった。
国立中央博物館で展示中の‘マヤ文明展’でマヤ遺物を盗もうとした3人組が当時勤務していた請願警察*2に逮捕された。
ソウル龍山(ヨンサン)警察署は17日、特殊窃盗未遂などの容疑でA氏(31)、B氏(28)、C氏(21)を逮捕し調査をした。彼らは先日の10日午前10時5分に‘マヤの時間、運命そして予言’展示館に展示されている遺物を盗もうとした疑いだ。
A氏は犯行理由を尋ねる取材陣に「滅亡を前にした人類を救うためには盗まなければならなかった。」と言った。
彼らは新興宗教団体‘サイエンサルバール’の信者であることが明らかになり、サイエンサルバールの教祖ヘンリージョーの影響を受け、犯行を計画したと推測される。
サイエンサルバールは科学者ヘンリージョーが1999年に創始した新興宗教だ。
人間をエネルギーの集合体と信じ、不確実な未来から来る人間の不安を科学で解決することができると信じる宗教として知られている。ヘンリージョーは創始後、公式的な席でたびたび砂時計模様のマヤ遺物について言及しており、遺物の中に凝縮されたエネルギーが人類を救うことができる鍵になると述べてきた。
ヘンリージョーが言及したマヤ遺物は“月の動きを盛り込んだ砂時計”でマヤ専門家らの間でも解釈がまちまちであるが、当時には珍しい冶金術*3を活用した遺物で儀礼用に使用したものと解釈するのが学界の定説だ。
01. SAN
ヨサンがいなくなり、この場所に戻ってきてからいつの間にか一週間が過ぎた。
存在しないこの場所は異なる次元に旅立つ前に僕らが止まっていた場所だ。
街の風景も人々も見慣れたそのままだったけどたった一つ、時間帯が変わった。
簡単に言うなら、僕らは過去に戻った。
ユノの実兄が交通事故に遭う少し前、僕らがアジトに集まる前の時間だ。
おそらくクローマーが割れて少しの時間が歪んだと推測した。
ユノはその歪みに喜んだ。
過去に戻りながら事故で失った兄を取り戻したからそうだろう。頭では理解できるけど喜ぶユノが内心薄情だった。過去であれ現在であれ僕らは今生きているが、ヨサンはいないから。
クローマーが割れた以上、あの場所に戻る方法はないから。
ぼんやりと時間だけが過ぎて、ソンファ兄さんが急いで入ってきた。
「これクローマーだよね?」ソンファ兄さんが新聞記事を1つ見せてくれた。
国立中央博物館で展示されているマヤ遺物窃盗未遂に関する記事
“月の動きを盛り込んだ砂時計”
それはクローマーだった。
02. SEONGHWA
「考えてみれば僕が夢で受け取り、割れたクローマーは黒いフェドラの男がくれたんだ。
彼らの次元に存在したクローマーだったんだ。そうだとしたら現在のこの世界にもう一つクローマーが存在していると言うことも不可能なことではない!そのクローマーを使用してヨサンを見つけてまた持っておこう!」興奮したホンジュンの言葉にメンバーたちは危険で不法的なことだと難色を示した。
“不法でもなんでもそれが重要なのか?それならヨサンは?そこにそのまま取り残すのか?”
そうだ、過去の僕だったら、常識、規則の枠から外れることを知らなかった僕だったら、ホンジュンがクローマーを盗もうと言ったとき、同じ反応をしただろう。
そしてもっと怒ったかもしれない。だけど今の僕はあの時の僕とは違う。
何よりもヨサンを探すことが最優先だ。
「もう過去に留まらないことにしたじゃないか。違う世界を去った時、みんなで決心したんじゃなかったのか?」
僕らはわかっていた。ここが現在ではないことを。だからこそ行かなければならない。
全てを元に戻すために。
しばらく考えを整理していたメンバーたちは一人二人とクローマーを盗む計画に同意し始めた。みんなが賛同したその時、ユノが静かに言った。
「僕はここに残るよ。兄さんから離れられない。」
03. JONGHO
信じていたユノ兄さんの発言は衝撃的だった。複雑な気持ちを落ち着けようとアジト周辺を歩いた。同じような気持ちだったのかミンギ兄さんも静かに僕と僕のそばを歩いた。
「僕はユノの決定を尊重する。」
訝しい顔でミンギ兄さんを見つめると、兄さんは慎重に言葉を続けた。
「僕も祖母を失うかもしれないと思った時、夢もメンバーたちも全て贅沢なんだと思ったんだ。多分ユノはもっとそうだろう。一度失った人を取り戻したのだから。もう失いたくないだろう。」
ミンギ兄さんを殴った瞬間を思い出した。
僕らの夢が贅沢だと言う言葉とともに辞めるとミンギ兄さんが言った瞬間、深く裏切られたような気持ちで僕は思わず殴ってしまった。すぐに後悔したが...
「今更だけど実は誰よりも諦めたくなかった。」
諦めることを決心した理由、あの日ミンギ兄さんの唯一の家族である祖母が倒れたという。
メンバーたちと笑って騒いで幸せな時間を一人だけ楽しんだことが申し訳なく感じられたと。その気持ち全てを推し量ることは出来ないが、ユノ兄さんも複雑だろうと思った。
失った実兄を取り戻した気持ちと、ヨサン兄さんを助けたい気持ちの間で葛藤し、一番辛い人はユノ兄さんだろう。
僕らは長く長い話し合いの末、ユノ兄さんの決定を尊重することにした。
誰も決定を強要することは出来ないから。
04. YUNHO
今頃博物館の前でみんな集まっているだろうな。なんでこんなに不安なんだ。みんな計画通りうまくやっているんだろ?
携帯を1分に何度も確認するのか。 という兄さんの言葉に僕はきまり悪そうに笑いながら携帯を下ろした。大したことじゃないと言って兄さんの左足を揉み始めた。
「あまりにも変わったんだ。まあ毎日バイクに乗りながら彷徨っていたよりは今の方がずっといいけど、ここ2週間であまりにも急に変わったから適応しきれてないんだ。」
それもそのはずだ。僕らは未来を見て来たから。
「神様が兄さんの足を少し不自由にする代わりに完璧な手を与えたみたいだ。」
兄さんが物言いたげな目で見るのでギターを弾く兄さんの真似をした。
呆れたように笑った兄さんは左足を揉んでくれと言った。
生まれつき機能障害のある右足の代わりに左足が両足の役割を果たしているため、兄さんの左足はいつもパンパンに浮腫んでいる。
「確かに足が丈夫だったらこうして座って楽器に触れるとは思わなかっただろう。そう思えば何かが足りないことは人を目覚めさせるような気もする。な?」
そう言って兄さんは作業室の隅にあるテレビをつけた。テレビにはニュース速報が流れていた。
サイエンサルバール教祖、ヘンリージョーが100人を連れて国立中央博物館へ攻め込み、マヤ遺物を盗み、それを阻止しようとした少年たちが人質に取られたと言うニュースだった。
反射的に立ち上がった。
人質に取られたという少年たちはメンバーたちだった。引き出しの中のバイクの鍵を取り出して兄さんに叫んだ。
「兄さん、今日は絶対に外に出ないで。絶対、絶対に出ないで!」
05. WOOYOUNG
宗教団体と言わなかったか?でもなんで...
ヘンリージョーの刃物が僕の首に向いているとは...どうしてこうなったんだ。
午後4時博物館前で会った僕らは3人ずつチームに分かれ入ることにした。
タイムリミットが近づくにつれ、警備の警戒が緩む隙を狙って1チームが視界を遮って、1チームがクローマーを盗んだ後、すぐさまヨサンがいる場所に行くのが僕らの計画だった。
しかし博物館に入る前に僕らの計画はダメになった。展示場の外に溢れ出ている赤い服の群れの中に、一人黒いテックウェアをきた男がクローマーを持っていた。
長く白い髭と右頬にある黒い点、大きなゴーグル。彼がサイエンサルバールの教祖ヘンリージョーだった。
彼らからクローマーを取り戻さないといけなかった。今度逃したら帰るすべがないかもしれない。ちょうどその時、女子高生たちが赤いブランケットを肩に巻いて僕の前を通り過ぎた。
ブランケットを頭から被って、サイエンサルバールの群れに入った。戸惑う女子高生たちの顔を後ろにしてメンバーたちもブランケットを被ったまま群れに合流した。
ゆっくりヘンリージョーとの距離を縮めた。腕だけ伸ばせばクローマーが取れる距離まで近づいた時、“バンッ!”と空砲弾を撃った警察がヘンリージョーとサイエンサルバール信者たちを遮った。
ヘンリージョーは込み上げる笑いを堪えながら僕に囁いた。
「ちょうど人質が必要だったんだ。来てくれてありがとう!」
06. HONGJOONG
“頭を働かせろ、ホンジュン。頼む、考えろ!”
何も思いつかない。
一度も感じたことのない恐怖感で思考が止まった。“バンッ!”ともう一度警察が空砲弾を撃った。警察は最後の警告として「人質を解放しなければ警告射撃なしで発砲する」と叫んだ。
信者たちがざわめくとヘンリージョーは動揺しないようにと大声で言った。
その時だった、轟音を立てながらバイクの群れがここへ向かって走ってきた。
6台のバイクがサイエンサルバールの群れ周辺でぐるぐる回り始めた。意図のわからないライダーたちの行動に信者たちは不安に思い始めた。
ヘンリージョーが何と叫んだのか、騒々しい排気音のせいで横の人の話声も聞こえなかった。
見慣れステッカーを貼ったバイクが目に入った。ATEEZ YH ユノだ!
そうならば他のライダーたちはユノの友達だろう。
ユノの計画が何なのか直感的にわかった。
信者たちがコントロールできないので、ヘンリージョーが人々の方に目を向けた。
「ウヨン!!」
僕の叫び声を聞いたのか、それともウヨンも直感的にユノだということに気づいたのか、ウヨンはクローマーを掴んで当てもなく走り出した。
信者の群れを抜け出すや否や、ユノとライダーたちは僕らを各々のバイクに乗せて速度を上げた。
警察たちが信者たちを取り押さえようとしている間、遥か彼方に一人逃げるヘンリージョーの姿が見えた。
07. MINGI
「やっぱり戻ってくると思った!」ユノの後ろで僕は歓声を上げた。
風を切りながら走り、喜びに酔いしれて叫んだその時『後ろの車!!』横を走っていたホンジュン兄さんの言葉に道路を刺しっていた6台のバイクは急いで方向を変え、その勢いで皆地面に倒れた。
僕らを襲ってきた車は速度を維持できず歩道に乗り上げ通行人たちにぶつかった。
倒れた通行人たちを見ていたユノの瞳が揺れた。
「兄さん!」ユノが叫びながら走っていった先にはユノの実兄が倒れていた。博物館の方向に向かっていたと思われるニュースの中にユノのバイクを見つけて来たようだった。
ユノのお兄さんはゆっくり目を開けてこう言った。
「もしかして今5時7分か?」
その質問に僕は携帯を確認した。
午後5時7分だった。
「僕がこの日、この時間に車に轢かれたと書かれていたけど」
ユノは驚いた目で兄を見ると兄は辛苦の末に言った。
「ごめん、机の上にお前の日記帳が置いてあったから、
お前に何かあったようだったけど何も言わないから。」
苦しそうにしばらく息を整えて、話を続けた。
「とんでもないことが書かれていたから小説だと思ったけど、今、これを見ると違うようだね。」
「兄さん早く病院へ行こう。早く。」ユノが涙を拭いて兄さんを立ち上がらせようとしたがユノの兄さんはユノの腕をじっと掴んだ。ユノは兄さんをまた離さないように兄さんの手をぎゅっと握った。
「必ず言いたいことがあるんだけど...僕が怪我をしたのはその時も、今もお前のせいじゃない。だから過去の僕はただ過去のまま残して、お前の道を進んでくれ。」
ユノの兄さんは啜り泣くユノの頭をゆっくりと撫でた。
「愛する弟よ、僕がいつも言ってるだろう?一日をよく耐えただけでも君は最善を尽くして生きたんだって。2週間本当に幸せだった。ありがとう。」
その言葉を最後にユノの兄さんは意識を失った。ユノはユノの兄さんの胸に顔を埋めて泣いた。
ひっくり返った車の運転席から誰かがよろめきながら降りて来た。ヘンリージョーだった。
頭を怪我したのか顔には血が流れていた。ヘンリージョーの視線はウヨンの手にあるクローマーに向いていた。胸からナイフを取り出したヘンリージョーがウヨンに向かって乱暴に走ってくるが、「クローマーを返せ!」ユノがヘンリージョーに向かって殴りかかって叫んだ。
ヘンリージョーが転んで、落としたナイフをまた掴んだ。
「早く!」
ナイフを握ったヘンリージョーが僕らの方へ走ってきた瞬間ウヨンがクローマーを回した。
08. YEOSANG
ガラスの棺に閉じ込められてからどのくらい経っただろうか。光一つ入らないこの場での時間は永遠のようだった。僕が閉じ込められているガラスの棺の前には政府に反旗を翻したレジスタンスたちが生体エネルギーを奪われたまま石像のように並んでいる。生きても死んでもない彼らの姿が見たくなかったのかアンドロイドガーディアンたちは彼らの姿を黒い布で全て隠していた。これ以上我慢できないのは黒い布を被った人々の中にグライムズ姉弟もいるという事実だ。
クローマーが割れて噴き出した光を見て心配になったグライムズ姉弟とレフトアイはすぐに美術館に駆けつけた。数多くのアンドロイドガーディアンに囲われた彼らは捕まり、不幸中の幸いにもレフトアイはバンカーを抜け出したが、レフトアイは右腕を、グライムズ姉弟は生体エネルギーを奪われて捕まった。
どのくらい時間が経っただろうか。いっそのこと感情を失いたくなるほど辛かった。いや、むしろガーディアンが僕を殺してくれるならいいのに。
考えがそこまで行った時、どこからかラッパの音が聞こえた。僕を監視していたガーディアンたちが外へと飛び出した。打撃音とうめき声が閉まっているドアの向こうから聞こえてきた。僕も思わず両手でガラスの棺を叩いた。生きたかった。そうだ、僕は生きたかった。
「頼む、誰か僕をここから出してくれ!頼む!」
その瞬間ドアが開くとしばらくの間見れなかった光が差し込んだ。開かれたドアの後ろでは黒いフェドラを被った黒い男たちがアンドロイドガーディアンと戦っていた。
『ヨサン』
僕を呼ぶ優しい声。いつの間にかガラスの棺の前に近づいていた男は黒いマスクを外した。
安堵で涙が溢れた。ソンファ兄さんだった。
Z OUTRO
レジスタンス団体‘黒い海賊団’の地下隠れ家。
古くて小さい機械の中からシグナルが聞こえて来た。隻腕の男がやって来て古い機械の前に座った。シグナルを聞き取りためにペンを持った男はレフトアイだった。
また経験した喪失感で一段とやつれていた。
・・・ ・- -・-- -- -・-- -・ ・- -- ・ ・- - ・ ・ --・・
聞き取ったモールス符号を解釈するレフトアイ。徐々に彼の顔に希望が広がって行った。
レフトアイは人々に向かって叫んだ。
「彼らが帰ってきた!彼らが帰ってきたぞ!!」
‘黒い海賊団’も歓呼が地下隠れ家中に轟いた。
モールス符号の下にはレフトアイの曲がりくねった字でこう書かれていた。
『SAY MY NAME ATEEZ』