nevertheless

それにもかかわらず、好きなものを好きと叫ぶだけ

【訳】ZERO:FEVER Part.1 Diary verストーリー

順番が前後してしまいましたがやっとPart.1のDiary verが手に入ったので早速訳していきます。意訳含みますので悪しからずお願いします。

他ストーリー

nadegatanbi.hatenablog.jp

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A INTRO

The time passing by, our dreams

過ぎ行く時間、僕たちの夢

忙しく行き来する人々、その行列から抜け出して人通りの少ない抜け道に沿って迷路のようなセメント塀の道を突き進むと立入禁止の警告が貼られた工場の入り口が目に入った。工場の入口に伸びた草をかき分けいくつかの足跡が草を踏んで作った道が出てくると、いつものように遠くから聞きなれたビートが聞こえてきた。

捨てられたような倉庫、錆びた鉄の扉にビートが鳴り響く。
鉄の扉を開けるとここはもう僕たちだけの空間だ。聞きなれたビートに合わせて友人たちがダンスを踊っていた。彼らが一人二人と目に入ると笑みがこぼれた。毎日見ても飽きない顔たち。

ここは僕たちだけの空間。
泣いて笑って踊って歌って、それぞれの夢を互いに結び付けて大人たちの世界と僕たちを分離させてくれた僕たちのアジト、僕たちだけの世界。

今ここは妥協と服従を約束する前、
まだ僕たちが開いていない扉の向こうの瞬間だ。

01 HONGJOONG

I don’t want to be forgotten

as if I never exitsed

僕がこの世界に存在しなかったように
忘れられたくない

僕がこの世界に存在しなかったように忘れられたくない。

確かに同じ世界に住んでいるのに、あのテレビの中で派手な照明の中で踊っている彼らと僕は違う存在のようだ。僕もいつか彼らのように世界のどこからでも見える星になったら、その姿を家族が見られるだろうか。偶然にも、一度でも見てくれたら僕たち家族はまた会えるのに..
温かいリビングの風景を取り戻したい。

家族のみんなが離れ離れになって一人で生きてきた僕にできたもう一つの家族。音楽をして出会ったアジトのメンバーたち。彼らを思うと胸が熱くなる。みんなで必ず夢を叶えるように。僕の家族、僕が愛する音楽、僕らの夢、必ず守り抜くんだ。

02 SEONGHWA

She, who was dancing to the beat

彼女は踊っていた

彼女は全身でビートに乗って踊っていた。一瞬全ての風景が止まった。
彼女のイヤホンから流れてくる音楽。かすかに聞こえるメロディーのほかには何も聞こえない。常識、規則、疲れる世の中の事には関心なさそうな身振り。彼女のダンス。そしてたった一度通りすぎた雪道に壊された僕の世界。僕の中の何かが変わった。だけど僕は何も言えなかった。

彼女が去った場所には“Be Free”と刻まれたブレスレットが落ちていた。その時からいつもその時間に僕はそこにいた。

しかし彼女は二度と現れなかった。名前も知らない彼女。“Be Free”という言葉のように彼女は飛んで行ってしまった。僕は以前のように音楽を聴くことが出来なかった。もう以前のように曲の構造、コード、ジャンルもわからない。あの日の感覚が残っているだけ。

03 YUNHO

Weather is clear

晴天

兄さん今日は気分が良さそうだね?天気もすごくいいし。
兄さんに会いたくて走ってきたんだけど風が涼しくて全然熱くなかったよ。こんな日には兄さんと漢江に言ってバスキング((路上ライブ))でもしないといけないのに。昔のことを思い出したよ。
兄さん、今日兄さんが事故にあった時に壊れたギターを久しぶりに取り出したんだ。兄さんが怪我した姿が思い浮かぶようで捨てたかったけど兄さんがこうして大事にしていたギターだし、兄さんの夢を捨てるみたいだったからただ見えない所に隠しておいたんだ。

兄さん、僕最近同じチームになった兄さんがいるんだ。ホンジュン兄さんといって兄さんみたいで僕が辛かった時に出会ったんだ。音楽的にも人間的にもすごくいい人で、兄さんと似てるんだよ?多分兄さんとホンジュン兄さんが会ったらお互いにすごく良かったと思う。ホンジュン兄さんやチームのみんなのおかげで僕はまた笑えるようになったよ。

だから今は辛い記憶も避けないようにするよ。兄さんが叶えられなかった夢、僕が続けていくから。チームのみんなと一緒に叶えるから。
その時は兄さんもこの長い眠りから覚めてくれよ。兄さんの夢を、僕らの夢を叶えた姿を見せてあげたい。明日また来るね。おやすみ、兄さん。

04 YEOSANG

Just like a midsummer night's dream

ひと夏の夜の夢のように

最初から機械を上手に扱えたわけじゃなかった。初めはスピーカーを分解した時からだった。息苦しい時は家にある機械や楽器を分解してみてまた組み立てなおした。両親は僕の未来を決めてくれて僕はいつも同じ時間に同じ日常を過ごさないといけなかった。分解と組み立てをする時間だけがこの息苦しい日常を少しの間忘れさせてくれた。

おかげで彼らに出会った。古ぼけた倉庫、僕とは違って見える彼ら。’ドローン操縦できる?’という質問じゃなかったら僕は逃げ出していただろう。見慣れない光景。道に迷い聞こえてきた音楽に誘われてここまで来たけど。

その時から僕は毎日その場所に行った。一番楽しいことは音楽に合わせて踊ることだった。ダンスなんて想像もつかないことだ。心配性の両親の顔がよぎったけど止まらなかった。
初めて生きた心地がしたんだ。心臓が張り裂けるようなドキドキと指先の感覚が僕を満たした。僕が何かをこんなにも望んだ瞬間があっただろうか。いつの間にか僕の名前を呼ぶ仲間が一人二人と増えていった。一人で歩いていた道を一緒に歩いていた。’僕’がいつの間にか’僕たち’になった。

だけどもう僕は’僕たち’から去らないといけない。僕だけが抜ければ全てが元通りになるよ。バラバラに散ったメンバーたちも奪われたアジトも。ごめんね、みんな。

05 SAN

I don’t know

もうわからない

いつも笑っていた。だけどいつも寂しかった。本音を打ち明けることが出来なかったから。いや、そんな時間がなかったからだ。親しくなると引っ越した。今日も同じだ。だけど今回は少し違う。今は本音を話せる仲間たちが出来た。出会った時から分かった。僕と同じだと。あ、ソンファ兄さんは少し違ったかな。この兄さんはいつも計画通りにしようとする..感じたままに行動するもんでしょ。

父さんがまた引っ越さなければならないとおっしゃった。聞きなれた言葉なのに今回は変な気分だ。このまま行っても良いのか?これからは僕も行くところが出来たのに..ウヨンになんて言えばいいんだ?ウヨンのおかげで仲間のおかげで僕も上手く踊れるようになったのに..

ボボヤ、僕はどうするべきかな?何?感じたままに行動しろって?

06 MINGI

The sounds of his laughter

あいつの笑い声

僕にとって音楽は逃げ場だった。脱出口であり唯一の安息だった。死にたい瞬間にも音楽を聴いた。死ぬことは怖くない。貧乏ならどうだっただろうか。周りの人たちはまるで僕が別の惑星から来た宇宙人のような目で見る。尻の青い高校生のガキが「死」云々と語ってと世の中の人々はあざ笑うかもしれない。僕の同年代で死にたい奴はそれほどいないだろうから。

小学校・中学校・高校の間、名前を覚えた友人は限られる。それもほとんどが小学校の時だ。僕に話しかける人もあまりいないが、話しかけても僕が答えないからだ。だけどウヨンは違った。小中高すべて同じところに通ったが僕は覚えていなかった。ウヨンは僕が返事をしてもしなくても休み時間の度に僕の前に来て休む間もなく騒いだ。自分のクラスメイトの話、好きな歌、尊敬するアメリカのダンサーの話、学校の外で一緒に音楽をしているチームの話。そして最後にはいつも彼の笑い声だった。独特なウヨンの笑い声に思わず噴き出した。それからなんだか恥ずかしくなってわざとウオン((韓国語でゴボウ))と呼んだ。何でもないようにまたあの笑いが。初めて心を開くようになった友達だった。

いつからかウヨンとご飯を食べて日常を共にするようになった。ウヨンについてアジトに初めて行った時もその頃だ。その頃からだった。夢を見るようになったのは。僕がどこに住んでいるのか、両親がいるのか関係なく音楽で泣いて、笑ってただありのままの僕を見てくれる仲間、生まれて初めて幸せだと感じた。だけどだんだんと怖くなった。僕が本当に夢を持っても良いのか?ある瞬間に奪われてしまうんじゃないか...

07 WOOYOUNG

It's different this time

今回は違うんだ

頭の中が真っ白になる。僕は誰でここはどこだ。逃げたい。

また失敗するのか。一人で踊るときは自信があった。SNSに掲載した練習動画の再生回数が10万回を超えあっちこっちから連絡がきた。大手事務所からもオーディオの提案を受けた。だけど実際に僕を見る視線を感じた時身体が動かなくなった。逃げ出したくなって目をつぶった瞬間、ソンファ兄さんの声が聞こえた。

“‘ウヨン、ステージでパフォーマンスする前にこの3つの言葉を思い出して!’ ‘全部大丈夫!’、‘自分を信じて!’、‘できる!’”
“緊張して死にそうな時なのに何を3つも思い出してって~。ソンファ兄さんまた心理学の本か何かでみたの?”
“ユノや、お前はまたソンファをからかうのか。でも自分を信じることは定石ではあるね!”とまとめてくれるホンジュン兄さん。こっそり笑ってしまった。そばにいなくても一緒にいる感じ。足に力が入る。

舞台恐怖症に打ち勝つために絶えず騒ぐ癖ができた。恥ずかしさを隠すために笑い声の練習もした。周りから、なんでそんな笑い声なんだとからかわれても僕を安心させてくれる僕だけの防衛機制だった。しかしそれも束の間、視線を感じると身体が硬くなるのは相変わらずだった。
ホンジュン兄さん、ソンファ兄さん、ユノを初めて見たのは路上でのバスキングだった。ダンスのテクニックを超えた表現力と観客を虜にするショーマンシップ、僕が持っていない何かが彼らから見えた。彼らと一緒に踊る時視線を意識することはなくなり最高のダンスが踊れるようになった。

足に力が入る。第1ステップ。今まで一度も成功したことがなかったあのステップ。僕の体を縛っていた鎖が魔法のように解かれた。

08 JONGHO

I had it all planned

計画があった

僕には計画があった。全国大会優勝、得点王、最年少バスケットボール国家代表選手...僕の人生に他の計画はなかった。ケガをした初日、早くリハビリをしてまた復帰をするつもりだった。なのにもうバスケがダメだなんて。
‘そしたら僕は何をしたらいいんだ!僕はバスケ以外に出来ることがないんだ!僕にバスケをやらせて下さい!何でもしますから!’医者を捕まえて懇願したけど駄目だった。

水に溺れたようだった。手足を動かしてみても前に進めずずっと元の位置にいる。水面を浮き沈みする身体を支えてただ耐えた無意味な時間が過ぎていった。こうして生きていていいんだろうか。ダメなことはわかっているんだ。だけどバスケを諦めた時、僕の中の全ての細胞が死んだように僕は生気を失った。

生気のない寂しいその表情、ユノ兄さんの手を掴む前、あの時の僕のようだ。手がズキズキする。飛んでくる拳に気づきながらも避けなかったミンギ兄さん、兄さんの寂しそうな表情が気になった。

ここまでにしようという言葉、僕たちの夢が贅沢だという言葉、一緒に過ごした時間がミンギ兄さんにとって何の意味もないという言葉に我慢できず拳を振るった。僕にとっては胸がときめく時間だったし、また見つけた夢だった。

道を失った兄さんにどうしてこんなことをしてしまったのか、あの時の僕はわからなかった。僕たちはどこにいるんだろうか。どこに行くべきなんだろうか。

Z OUTRO

Into the New World

新しい世界へ

夢と家族をまた失っても、相変わらず僕に出来ることは何もなかった。
みんながバラバラに散らばってまた一人になった。

雨の音一つしない蒸し暑い天気が続いたある夏の日に僕たちは解散することにした。一時は一緒だったのにある時から一緒に見ていた夢がお互いの足を引っ張る足枷となってしまったからだ。灼熱の太陽はそうして青春の夢まで溶かししまった。夢は消え去り各自の足元には解決しなければならない問題が先送りにした洗濯物のように積まれていた。頻繁ではなくても度々会おうという約束は後回しにされ急を要する現実に僕たちはお互いを忘れた。
その頃だった。僕たちが夢の中でその男に出会い始めたのは。

黒いフェドラを被った男はマスクで顔を覆い目だけ見えた。なぜか見慣れた目つき。だけど少し疲れて見えた。

“夢を失ったのは現実のせいじゃなくてお前たちがそう決めたからだ。”
“お前たちが見ている世界だけが全てだという考えは捨てろ。世界には数え切れない次元と数え切れない現実が存在している。俺がいる世界も全部現実だから。”
“すべての話を聞かせてあげたいけど今俺には時間がない。”

“これは何?”

“クローマー。世界を繋げる鍵。”

彼の手には光る砂時計があった。この小さな砂時計が世界を繋げてくれる鍵だと?注意深くクローマーを受け取った。すると男は数歩後ろへ下がって最後の言葉を言った。

“心に従え、地図はそこにある。”
クローマーを見つめていた視線を再び上げてみた時、男はもう消えていた。

目が覚めた。夢だったんだ。今は誰も探していないアジトで一人で眠りについたんだ。

寂しい気持ちを隠しながら歩いていこうとした時、横になっていたソファーの前の机、その上に光る何かがある..夢で見たクローマーだった。
夢じゃなかったんだ..クローマーを見ながら何気なくまわしてみると...
砂時計の中の砂が下から上へ逆流し始めた。鉄の扉が開く音、一人二人の足音、メンバーたちが僕と同じような表情で僕の周りに集まった。